離婚の慰謝料について - 細川行政書士事務所

(配偶者への慰謝料請求)

 
 離婚に伴う慰謝料とは、「離婚」によって被る精神的苦痛に対する損害賠償のことをいいます。離婚原因となった具体的な有責行為により生じた精神的苦痛に対する損害の賠償と、離婚によって配偶者の地位を失うことから生じる精神的苦痛に対する損害の賠償との双方を含みます。実務上では、両者を明確に区別して扱わずに、一つの不法行為として一体のものとして扱っているようです。

 

 なお、最高裁の判例では、相手方の有責行為(不貞や暴力行為など)によってやむなく離婚に至ったことによる精神的苦痛に対する損害賠償として、慰謝料請求することを認めています(昭和31年2月21日判決)。また、別の最高裁の判例では、財産分与と慰謝料は別の性質のもので、財産分与後に慰謝料を請求することも、財産分与に慰謝料の要素を含めることもできるとしています(昭和46年7月23日判決)。
 
 慰謝料を請求できる理由として、不貞行為、暴力、犯罪行為、悪意の遺棄、婚姻生活の維持に協力しない、性行為の拒否や性的不能などがあげられます。一方、性格の不一致など違法性がない場合ですと、慰謝料は認められないことになります。また、結婚生活の破綻原因が夫婦双方にあり、どちらが悪いともいえない場合にはお互い痛み分けとなり、慰謝料なしとなります。
 
 慰謝料の金額については具体的な算定方法があるわけではなく、それぞれのケースにより異なります。離婚に至る経過、婚姻期間、有責行為の程度や回数、未成年の子の有無、経済状態、その他様々な事情を考慮したうえで決めます。

 

 すなわち、慰謝料の算定要因としては、もちろん「有責性」があれば高くなりますし、その程度に比例して金額も高くなります。また「婚姻期間」が長くなれば、この慰謝料の金額も高くなります。さらに、「相手方の資力」に応じても慰謝料の額は高くなります。一見すると、相手方に資力があるか否かによって慰謝料の額が変わるというのは不合理とも思えますが、慰謝料というのは相手方の精神的な苦痛を慰謝するものですから、相手に資力がある場合、例えば「夫に300万円支払わせても、痛くもかゆくもない」という事になれば、妻の精神的苦痛が慰謝されないという意味で影響してくると思います。
 
 以上のように離婚に至った経緯は様々ですので、慰謝料額の算出もケースバイケースであり、明確な相場はございません。しかし、判決になった場合は200~300万円くらいが一番多いとされています。ちなみに、弊事務所で扱わせて頂いた示談案件を参考にさせて頂きますと、100万円程度が多いです。中には、少ないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、裁判を起こした場合にかかる弁護士費用を負担することを考えると、裁判をせずに前記慰謝料額をそのまま受領したほうが賢明とも考えられます。
 
 なお、離婚後に慰謝料の請求をすることも可能ですが、後々になって財産分与に慰謝料が含まれていたなど、相手側とのトラブルの原因になる可能性があります。争いごとを避けるためにも、離婚の際に慰謝料についての金額や支払方法を決めたほうがよいでしょう。離婚協議書を作成し、公正証書にしておくのがよろしいと思います。
 
 離婚の話し合いの際に慰謝料について夫婦間の話し合いでは解決できない場合には、家庭裁判所へ調停を申立てることができます。それでも決まらない場合は、裁判手続をとることになります。なお、慰謝料の請求には消滅時効があります。離婚届受理後3年が経過しますと、時効となり請求ができなくなります